我が家の子供たちは、ディズニーの形のかわいいマカロニが大好きで、ご飯をゆっくり作る時間がなかった日は、パスタが食卓に登場します。
子どもたちは、マカロニをそのまま食べることも多く(特に次女は野菜嫌いなので野菜と混ぜてしまうと食べない…)、下味として濃いめの塩を入れてゆでています。
ただ、そもそもなぜ塩を入れるのでしょうか? マカロニをそのまま食べるので普段は濃いめに塩を入れていますが、大人が食べるような味の濃いソースにからめる時は、「塩を入れてゆでたら塩分過多になってしまうのでは…あまり入れない方がいいのかな?」と、ふと不思議に思いました。
そこで今回は、パスタをゆでる際に塩を入れる必要はあるのか、入れるならどれくらいが最適なのか、科学的な理由も含めて調べてみました。
パスタをゆでるときに塩を入れる理由は、主に塩味をつけることと、コシのある状態を保つため
パスタをゆでるときに塩を加えるのには、大きく分けて3つの理由があるようですが、主には以下の二つとなります。
1. 麺自体にほどよい下味をつけるため
パスタは小麦粉(デュラムセモリナ粉)と水などを練って乾燥させた乾麺です。お湯でゆでると、水分を吸って元の何倍にも膨らみます。このとき、ゆで汁に塩分が含まれていると、水分と一緒に塩分が麺の内部まで均一に浸透していきます。
後からソースを絡めるだけでは、麺自体の中心部が無味のままになってしまいます。
麺そのものにしっかり下味がついていることで、ソースと麺が口の中で一体となり、美味しく感じられる、ということのようです。
2. コシを残し、デンプンの過剰な溶出を抑えるため
「塩を入れると麺が引き締まる」とよく言われますが、これにはグルテンの構造変化とデンプンの糊化(こか)の抑制が関わっています。
- グルテン網目構造の引き締め(遮蔽効果)
パスタの主原料であるデュラム小麦には、グルテニンとグリアジンというタンパク質が豊富に含まれており、網目状の「グルテン」を形成しています。通常、タンパク質分子同士は同じ電荷による静電反発で適度に広がっていますが、水中に食塩が溶けてイオン(Na+や Cl-)が存在すると、その電荷が中和(遮蔽)され、タンパク質分子同士がより密に引き合って結合します。これにより、グルテンの網目構造が強固に引き締まり、ぷりっとした弾力(コシ)が生まれます。
- デンプンの過剰な溶出を防ぐ仕組み
パスタを加熱すると、内部のデンプン粒子が吸水・加熱されて膨らみ、糊(のり)状になる「糊化」が起きます。お湯に塩分が存在すると、塩のイオンが水分子を引き寄せる(水和する)ため、デンプンが自由に使える水の量がわずかに減り、糊化する開始温度が少し高くなります。さらに、外側のグルテン網目構造がキュッと引き締まっているため、膨潤したデンプンが麺の外側へドロドロと流れ出るのを防ぐことができます。
その結果、麺の表面がベタつかず、お湯の中に旨味や食感が逃げるのを防ぐことができます。
3. ゆで汁をソースの「乳化」に利用するため
オイル系パスタの場合は、特にゆで汁を「乳化(エマルジョン)」に利用するため、上記2つ以外の目的でも塩が加えられます。
本来、水(ゆで汁)と油(オリーブオイル等)は極性が異なるため、混ざり合わずに二層に分離してしまいます。
乳化とは、激しくかき混ぜる機械的なエネルギーによって、油(または水)をごく微細な粒子(油滴)に分散させ、分離しない均一な状態にすることを指します。
しかし、水と油だけでは時間が経つと再び油滴同士がくっついて分離してしまいます。ここで重要な役割を果たすのが、パスタのゆで汁に溶け出した「デンプン(アミロースやアミロペクチン)」です。
ゆで汁に微量に含まれる糊化デンプンは、水分にとろみ(粘性)を与えます。液体の粘度が高くなると、油滴が水中を自由に動き回って衝突・合一するスピードが大幅に遅くなり、乳化状態が非常に安定します。
結局、家庭での「塩の最適量」はどれくらい?
完全に塩を抜いてしまうと、麺の中心が無味になり、デンプンが溶け出して表面がベタつきやすくなってしまうので、塩は必須。
ただ、塩の分量が多ければ多いほど、明らかに食感が変わるほど、コシが出る、ということもなさそうなので(塩の分量を変えて、マカロニを茹でてみましたが、少なくとも、味の濃さ以外に子どもたちから指摘は受けませんでした)、ソースの塩味に合わせて、ゆでる際に使う塩分量を調整すればよさそうです。
| 塩分濃度 | お湯1Lあたりの塩の量 | 食べ方(ソース種類等) |
|---|---|---|
| 0.5% | 5g(小さじ1弱) | 味の濃いソース(ミートソースをたっぷりかける等) |
| 0.8% | 8g(小さじ1杯半) | 和風パスタ等(味が濃くないソース・食べ方) |
| 1%~ | 10g~(小さじ2杯弱) | オイル系パスタ、そのままマカロニを食べる時 |
「今日はどんなソースで食べるか」「子どもたちがどう食べるか」に合わせてゆで塩の量を使い分けてみると、いつものパスタがより美味しく、バランスよく仕上がるようになるのかなと思いました。
塩を入れずに茹でてしまうこともあったのですが、今後は少しでも塩を入れて、茹でようと思います。
(マカロニをそのまま、ご飯のように主食でぼりぼり食べてしまうのですが、他でも同じようなご家庭はあるのでしょうか…笑)
参考文献
・ピエトロラジオ 公式HP
・菅野製麺所:製麺所が教える、本当に美味い麺の選び方
・織田調理師専門学校