焼き芋は子どもも食べやすい、日々食卓に並べたい炭水化物
我が家の2歳・4歳児は、朝ごはん・お昼ご飯はパンや麺類を食べがちで、小麦は食べてはいけないものとは決して思ってはいないものの、小麦製品を日々大量に摂取するようにはなって欲しくないと思っている我が家。
実際は、週末はパン・麺類や外食に頼りがちで小麦製品ばかりなのが実情ですが…。
という中で、子どもたちがパン・麺類と同じくらい喜んでくれる炭水化物として、我が家では焼き芋を重宝しています。
ただ、スーパーで売っている安いさつまいもを蒸したり、電子レンジでチンするだけでは、パサつく&甘みが強くないからか、一口で飽きられてしまいます…。
かと言って、日々食卓に出すものなら、大学芋のように油や砂糖まみれにはしたくない…。
ということで、どうにかして、市販で売っているような”焼き芋”を家で再現できないものか?と、市販の”焼き芋”に近づけるために何をすればいいのか、調べてみました。
しっとり・甘い焼き芋を作る鍵は、品種と温度管理が重要
しっとりした、甘い焼き芋(いわゆる蜜芋)を作るためには、原料となる芋の品種と、温度管理が重要で、具体的には
- 品種
デンプン質が少なく、水分量と糖度が高い品種が最適
例えば…
・ベニハルカ: 強い甘みとしっとり感のバランスが良い
・シルクスイート: 絹のような滑らかな食感が特徴
・安納芋: ねっとりとしたクリームのような食感 - 温度管理
サツマイモに含まれる「β-アミラーゼ」という消化酵素が、デンプンを麦芽糖(マルトースと言われる、甘み成分)に変えることで、しっとり甘い焼き芋が実現します。この酵素が最も働くのが60~70℃なので、その温度帯を長く維持することが必要となります。
「β-アミラーゼ」は酵素の一種なので、一定の温度を超えると失活してしまうので、失活しない温度帯の範囲内に温度を管理する工夫が必要です。
※ちなみに、マルトースは、ブドウ糖2つが連なった構造をしており、甘みとしてはショ糖の1/3程度と言われています
(参考)β-アミラーゼが消化酵素として活動可能な温度帯
40℃~ :活動開始
60~70℃ :最適温度(最も活発に活動)
75℃~ :失活開始(完全に失活するわけではないが、酵素のたんぱく質が熱変性し始め、酵素の活動が弱まり始める)
80℃~ :完全失活
蜜芋を作るためには”糊化”→”糖化”の2種類の反応が必要
ここは興味本位で調べてみただけですが、生のさつまいもは結構固いので、あれがお店で売っているようなしっとりとしたさつまいもになるというのも不思議な気もするので、どのような原理なのか?というのも気になりました。
“糊化”
生のさつまいもはでんぷんは、でんぷん粒が結晶のようにかたく密集している状態で、甘みを感じることはできません。この状態では、βアミラーゼがうまくでんぷんを分解していくことができないので、まず、加熱の中で生じる水がでんぷんに吸収され、でんぷんが糊上へ、結晶構造がほぐれていきます。
糊状態になることで、酵素が反応しやすくなるので、この糊上にする”糊化”というファーストステップが重要となります。
“糖化”
上記の糊化が起こったのち、βアミラーゼが働き始め、でんぷんをマルトース(人が甘みと感じられる成分)へ分解していくことで、甘みを感じられるようになります。
少し専門的になってしまうのですが、この時、α-1,4グルコシド結合を非還元末端からエキソ型に二糖単位で加水分解し、βアノマーのマルトースを生成する、という反応が起こっているそう、なるほど。
自分自身が小学生の頃に、さつまいもをチンしてみたりしても、石焼き芋ほど甘くならなくて残念な気持ちになったことを覚えています。
いま振り返ってみると、電子レンジはマイクロ波で食材内部の水分を急激に加熱するため、βアミラーゼが十分働くことができず、チンする前に含まれていたショ糖等の甘みのみで、マルトースの甘みを引き出せていなかったので、当たり前ですね。
加えて、品種としても、もともと水分が少ない粉質系の品種(「紅あずま」など)を使っていたのかもしれません…。
家でしっとり甘い石焼き芋(蜜芋)を再現するには、オーブン・炊飯器の玄米コースが手軽
品種は水分量が多い品種を買って来た上で、子どもと一緒に簡単に焼き芋を家で作るには、どうしたらいいのでしょうか?石焼き芋を作るための器具も、今は比較的安価な値段で売っていますが、どこの家庭でも再現できそうなやり方だと
- 炊飯器の玄米コース
普通米の炊飯コースより、玄米コースの方がじっくりと長く加熱しているので、少量の水(100ml前後)を一緒に入れて加熱することで、しっとりとした蒸し芋状態のお芋が完成
(我が家の場合、大きな炊飯器ではないので、かなり小さいサツマイモしか入らず…) - アルミホイルで包んだ上で、オーブンで低温調理
水分が少なくなりすぎると、「ねっとり」というより、干し芋に近づいていってしまうので、濡らしたキッチンペーパーで芋を包んでから、その上をアルミホイルで巻き、それを160℃前後のオーブンで90分程度焼き、その後余熱でしばらく放置して完成
(オーブンを2時間くらい占領してしまうので、我が家のようにオーブンレンジ1台という家は、作る時間帯を選ばないと、ご飯づくりの時間に影響してしまいますね)
※電子レンジでの加熱と異なり、外部温度での加熱のみになるので、熱伝導性が低いさつまいもだと、160℃で焼いても、内部まで160℃になるには相当な時間がかかります。1時間程度であれば、内部は70℃前後で保持される時間が長いのではと思いますが、さつまいものサイズや、核ご家庭のオーブンレンジが正しく温度を保つ精度によっては、調整が必要と思われます。
の2種類が一番手軽なのでは、と思いました。ただ、サツマイモのサイズ等に応じて、うまくいかないこともあると思うので、確実なやり方としては、
- 低温調理
洗ったサツマイモを耐熱袋(アイラップやジップロック等)に入れ、空気を入れて密封した後、低温調理器で80℃前後に保った水の中で2~3時間程度加熱する。
好みで皮をパリっとさせるために、トースターやフライパンで焼く
という方法もありえそうです。最近は自動調理家電に低温調理機能もついているので、それで80℃設定が可能なのであれば、そのような家電を持っているご家庭では、一番再現性高くしっとり甘い焼き芋が実現できるのではないでしょうか。
我が家では、オーブンで基本的には甘い焼き芋作りを試みています。さつまいものサイズによっては、うまくいかないこともあるので、その時は失敗した芋を味噌汁や、芋もち(中にチーズを入れると子どもたちは喜びます)にして使っています。
冷凍の焼き芋も売っていたりするので、そのような商品を買うのも一手だと思いつつ、かなり冷凍庫の場所を取るので、大量買いすることもできないですし、市販の焼き芋が手に入らないときや、さつまいもを大量に頂いた際には、子どもの炭水化物代わり(できれば小麦製品代わり)として作っていきたいなと思います。
(参考)さつまいもは、低温糖化でも甘くなる
焼き芋は、市販のさつまいもを使ってマルトース(麦芽糖)を作って、甘くする、と上記で述べていますが、低温糖化という方法でも甘くすることができます。
これは家庭ではやりにくい部分も多いと思うのですが、10℃で20日間など、低温で長期貯蔵することで、果糖(フルクトース)の割合が著しく増加するそうです。
ただ、16℃以上だと、腐敗や発芽のリスクがあり、発芽してしまった場合は、味も栄養素も落ちてしまいます。一方で、さつまいもは熱帯原産の植物で寒さに弱いため、10℃以下だと低温障害(細胞組織が損傷を受ける)が生じて、甘いがなくなるどころか、苦みが出てしまったり、見た目としても黒い斑点が出てしまったりと、腐敗しやすくなってしまいます。
ので、10℃前後に温度を保てる場所があるご家庭では、様子を見つつ、低温糖化も試みても良いのかもしれません。
我が家のように、あちこちで暖房がついていたり、床暖が入っていたりすると、なかなか10℃前後に保つことは難しいかもしれませんが…
ひとまず、さつまいもは、日持ちするからと少々多めに購入しがちですが、冷蔵庫には入れずに保管したいと思います。
(子どもが生まれる前は、さつまいもを買っては冷蔵庫にすぐに入れていましたが、子どもが生まれてから冷蔵庫保管がNGと知りました…)
出所
・さつまいも大好き
・さつまいもアンバサダー協会
・カゴメ(VEGEDAY)
・日本いも類研究会
・名古屋学芸大学(管理栄養学部)