甘くする(砂糖を多く加える)=防腐

我が家は毎年、家族の好みに合わせて、数種類のおせちのみ準備しますが、伊達巻、黒豆、栗きんとん…と甘いものばかり。
砂糖を加えることで、日持ちするようになるという昔の知恵なんだよ、と母から聞いたことがありますが、その原理は案外知らない人が多いのではないでしょうか。(私自身も砂糖・塩をたくさん加えると腐りにくい、くらいの理解しかありませんでした)

まず、砂糖とは、スクロース(C12H22O11)=グルコース(ショ糖)・フルクトース(果糖)が結合した二糖類を指すことが多いようです。
そして、その砂糖が、なぜ防腐効果を発揮するかというと、一番はその吸水性の高さにあります。(脱水作用が強いとも表現されたりします)。
食品中には、
・自由水(微生物等が繁殖に利用できる水)
・結合水(砂糖をはじめとする食品成分に結合している水)
の2種類の水分子が存在しますが、砂糖を加えると、自由水が減り、結合水が増えることになります。
自由水が十分になくなると、”腐る”ことの原因となる微生物たちが、十分に繁殖できなくなり、防腐効果を発揮することとなります。

どれくらい甘ければ、防腐効果を発揮する?

ここで気になってくるのが、どれくらいの砂糖を入れれば十分な防腐効果を発揮するのかという点。
ちょっと砂糖を入れて、ほんのり甘い、くらいであれば、すぐに腐っているイメージ。でも、砂糖を入れすぎても、正直あまり一度にたくさん食べたい味にはならないですよね。
(それに子どもたちには、砂糖のとりすぎないようにして欲しいと思う親御さんも多いはず)

では、どれくらいの砂糖を入れれば、十分な防腐効果を発揮するのでしょうか?

防腐効果を発揮するか否かの基準値は、それぞれの微生物の最低限必要な水分活性によって異なります。
微生物は、食物中の利用可能な水分に依存して成長しており、細胞膜を通じて細胞内に水を取り込みながら生きています。細胞外の水分活性が高い環境から、細胞内の水分活性が低い環境へ水が移動するという水分活性勾配によって、水分の取り込みが実現しています。
この水分活性が一定限度まで低くなると、細胞は水分を取り込むことができなくなり、増殖できなくなります。
こうして、砂糖が多い食品は防腐効果を発揮できるようになります。
(ただし、砂糖が多い食品は、あくまで増殖できなくなっている状態にすぎず、休眠状態であり、細菌が死滅しているわけではない点には注意が必要かと思います。)

細かく見ると、微生物種ごとに生育に必要な最低水分活性は異なるのですが、繁殖に必要な水分活性の目安としては、(目安なので一部例外もあります)
細菌で0.94~0.99
酵母で0.88~
カビで0.8~
という感じなので、水分活性が0.9以下だと防腐効果としては高いということになり、より安全な域としては0.8以下だといえます。

では、水分活性0.9だと
砂糖では58.4%以上(% w/w)
となりますので、半分以上が砂糖ということで、かなり甘い状態なのですね。
(ちなみに塩でも同様に水分活性が変わるのですが、塩の場合は15.6%で水分活性0.9)

まとめ:身近な食品で長期保存可能なものは?


食品中の糖分濃度としては、
佃煮15%、あんこ30~50%、ジャム60~70%
くらいが目途なので、おせちは砂糖のおかげで防腐効果があるとは言え、常温においておいたらあっという間に腐る程度の糖分でした。
おせちは、砂糖の防腐効果があるとはいえ、最近は甘さ控えめ商品も多いので、早めに食べようと思いました。
一方で、しっかり砂糖を加えたジャム(低糖商品は除く)は、腐りにくいということで、開封してしまっても数日で食べきる必要はやっぱりなんだなと安心できました。
子どもの朝食でジャムを使いがちだったので、大きなビンでジャムを買うときは、低糖だったら早めに使い切って、しっかり砂糖が入っているタイプなら状態見ながら長めに使おうかなと思いました。

出所

株式会社ウエノフードテクノ HP
独立行政法人 農畜産業振興機構 HP
メータージャパン株式会社 HP
株式会社サンコー商事 HP
海水総合研究所 研究報告